キミノの大冒険

12月はコツコツと。

第二章:走り出しは1位。自分のペース、に葛藤する序盤。

スタートしてすぐに丹羽薫さんと並走した。

 

 

薫さんはいつもすごい。走りながら話かけてくれて(実際は色々聞きだされているのかもしれないけど。笑)、質問したことにも全て答えてくれる。一緒に頑張ろうねと言ってくれて嬉しくなった。

 

100マイルは長い旅。今回の大会はまだ2回目で170㎞のコースは今年が初めて。誰もが初めてのコースに興奮するだろうし、誰もが不安な気持ちもあると思う。一緒に走る選手をライバルという対象ではない気がする。

 

ただ、私は入れてはいけないスイッチを入れてしまった。

 

レース中に走りながらしゃべるのは苦手なタイプ。自分のペースが分からなくなるので、狭い用水路を通る時に先行させてもらい、前に出た。その後、少し急な坂を30mくらい上がる際に、いつも通りの小股走りで走って駆け抜けた。

 

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予想通りに一人になった。ペースを見て走り出す。でも、心拍が少し高い。荷物が重いからなのか、興奮からなのか、ペースを落とす。かなりゆっくりな気がするが、まだ早い。砂利道で少し不安定の中、前を向いて走る。

 

予想の15分以上も早く第一エイドに到着した。後ろを見たら薫さんの姿が全く見えない。

 

やっちゃったな・・・・

 

長距離に慣れてない私はまだ100マイルのペースが分からない。ゆっくり走ったつもりだけど、結果的にここの区間はキロ6分を切ったスピード。もっとゆっくり進もうと考えてたので、慌てて落ち着こうと、深呼吸した。

 

この時点で女性1位。海外レースで、速い選手がたくさん出ていないものの、まさかの1位スタート。これはもしかして?と思ってしまったことを素直に話す。笑

 

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ここから大きな岩を四肢を使って登って越していく。水が流れており、老夫婦が泳いでいるくらい水量がある。ペースという考えは全て破棄されるコース。岩と岩の間は飛んで走るし、クライミングのように岩に足を引っかけて登ることもある。

 

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まだ前後に人が多いので詰まることもある。自分のペースで行こうと道を譲ることもあった。ここでAnitaさんに先行された。ほらやっぱりね、と一瞬の1位という興奮を静かに沈めた。

 

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工事現場の音がする。もうすぐCP2(20.1㎞/853m+)に近い。試走で来ていたので、見たことのある雰囲気に嬉しくなった。コースが分かるから安心して前に進める。試走の時に出会ったオマーンの選手とこの区間を走った。少し水が流れているところをポンポンポーンと走るその選手のことを思い出しながら前に進んだ。

 

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ここから車が一台通れるような広さの坂道をグネグネ登って行く。工事の車が通る場所なので、地面は固く整っている。ただ5㎞で600mアップするような傾斜のため、全歩きに決めた。歩くのが速い選手に抜かれるが気にしない。ここで足を使ったら終わりだ、と速歩で登り続けた。

  

CP3(25㎞/1448m+)には3:26:23で着いた。予定よりも40分も早い計算になる。ゆっくり走っていたつもりなのに、むしろ歩いていたのに、予想より早いタイムになかなか思い通りに走れていないのに不安を覚えた。

 

100マイルを始めウルトラは、ペースが速いのは全て借金になる、貯金ではなく後で痛い目を見る借金になる、とよく言われる。ペースが速いことへの不安と、予想ペース設定の精度の問題か、などいろいろ自問自答しながら走った。とにかくこの貯金は借金にしかならない。とこころに言い聞かせて走り出す。

 

早くも夕方となり、選手によってはライトをつけだす時間となってきた。ここの区間は大会で唯一と言っていいほどのフラット区間。夕日に向かって気持ちよく走れる、とても楽しい時間だった。

 

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最初の登りを終えて、気持ちよく呼吸も上がらず走れていることにかなり嬉しく思った。まだまだ序盤、ハイキングの気持ちで走っているが予想よりも早いペースになっている。

 

 

このキモチとカラダとのギャップの大きさの深刻度にここではまだ気づいていなかった。

 

 

 

※写真は実際のレースの時と、試走の時のを混ぜて出しています。

 

第一章:スタート前の興奮・緊張・歓喜、こうして始まったOman by UTMB

第三章:いちばんの楽しみクライミングゾーンはハイテンション

第四章:首位争奪戦、翻弄される1日目の夜明け

第五章:3㎞で1,000mアップのW8で満身創痍  

第六章: マイナス思考との葛藤が続く2日目の夜へ

第七章:あれは幻なのか、究極な状況で受けた衝撃の4時間。

第八章:焚火とオマニコーヒーとTODAYフレンド

最終章:この瞬間はこの時しかなかった

 

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