オマーンのコースで一番の傾斜であるW8。3.2㎞で1,045mもアップする、1㎞当たり327mだ。しかもレッドゾーンであり、かなり激しいセクションであることは最初の段階で予想していた。
どのくらいの時間で登れるかは予想できない。100㎞を越えたあとでこの区間をどのくらいのペースで登れるのか。予想タイムは多く見積もって3時間に設定した。
W8の前のバラドですでに身体は満身創痍だった。食べ物が入らなかいから、まったく動くことが出来ない。朝から昼になり日差しが強い。
チェックポイント12のバラドに入ったのは9:26。ダラダラと準備したのか休んだのか分からない時間を過ごしてしまったが、登る決心がついた。
よし行こう。9:50を過ぎたところでスタートをした。
最初の1㎞は無我夢中で登った。何も考えずにただ上を目指した。SUNNTOの距離表示で確認し、安堵した。よし、登れそうだ。
と思ったのも束の間、次の1㎞が全く登れない。
これはやっかいだ。。。。。。。
正直、何度も休んだ。登り続けなければ終わらないこの道をたった3㎞しかないこのセクションを3度も止まって石に腰を掛けた。2回目に休憩したタイミングで、アニータさんに出会った。
え、アリラホテルで辛そうだったのに。。。。。
どうしたの?と声をかけられて、胃が良くないとジェスチャーで答えた。彼女は、私もそうだったわ。一緒にがんばりましょう。っと言ってくれた気がした。(英語は全くわかならい。笑)
そうか、アリラホテルで辛そうだった彼女もこの差で走っているなら、私もいけるかもしれない。この時そう思った。
傾斜がきつく、手を使わないとよじ登れない。ポールをつかってはかなり危ないシーンも多いので、ポールはザックになおした。
上から、『きみのーーーーー!!』とユミさんの声が聞こえた。頂上まで近いんだと悟った。それでもこれまでとは違って応える余裕はなかった。とにかく目の前の1段を上がるしかない。黙々と動かし続けた。
『きみのーーーーー!!がんばれーーーー!!!!』何度も叫んでくれるが、なかなかつかない。『頑張ってるからさ。ちょっと待って。』とこころの中で呟いてしまった。
自分に怒りさえも覚えた。こんなつもりじゃなかったのに、もっと笑顔で楽しんでいるはずなのに、人にまで当たっている自分がいる。応援してくれる相手に『頑張ってるじゃん』なんて思っている自分に悔しくなった。
でもこの時は必死だった。とにかく登りきるぞ、という気持ちでしかない。100マイル走りきるぞ、じゃない。目の前のこの一歩を動かし続けて、みんなの居ることろまで。ただそれだけの気持ちで登り続けた。
12:21、チェックポイント13。W8到着。
やっと着いた。
ちょっとダメ。。。横になれますか。
今度はカラダが冷えてきた。足が痙攣しだした。寒い。
日の当たる岩に移動した。温かい。そして力尽きてしまった。
つづく。
第一章:スタート前の興奮・緊張・歓喜、こうして始まったOman by UTMB
第六章: マイナス思考との葛藤が続く2日目の夜へ
最終章:この瞬間はこの時しかなかった
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