先日行われたトークイベントで、ある質問を受けました。
『健康に良い範囲を超え、過酷なところまで走り込むのはなぜですか』
先日の様子はこちらから☟
事前にいただいていた質問だったので、いろいろと考えていたのですが、やっぱり私が思うのは、過酷な域を目指すことが果たして不健康なのか、ということ。健康の反対が不健康、というのはこの質問の意図を越えてるとは思いますが、逆に考えるとこうなります。
過酷な域、というのは他の表現をすると、あえてしなくてもいい領域、だとも思います。この『あえてしなくてもいい』というのはすごく分かることで、私もわざわざ100mileを目指す必要はないと思います。
しなくても生きれるし。
しなくても誰からも批判されることもない。
した方が不健康もしくは死のリスクを上げるのでは。
そう言われてもしょうがない事をしています。
それでも私が100mileで世界一を目指す理由。
これが私の答えでした。
私の職場には、国内・海外の高所登山・高所トレッキングへご出発される方に向けた、人工的な低酸素を作り出せる部屋があり、そこで一般の方にトレーニングをしてもらっています。
その方々は目的を持ってこられます。
キリマンジャロに登りたい。
アコンカグアへ再チャレンジしたい。
ウユニ塩湖へ観光で行くが高山病が心配。
セブンサミッツを目指している。
富士山がどうしても登れない。
いろんな目的で来られますが、それぞれ行きたい場所・行きたい日程・行きたい理由を持っています。そんな方々を毎日見て思うのは、目的・目標があることの大切さです。
目標があることで、それにかける費用を捻出するために外食を減らす、登れるカラダを作るために運動をする、時間を作るために仕事の効率を上げる。どれもこれも、いい事ばかり。
さらに私の会社の代表は、三浦雄一郎です。
社長であり、世界一尊敬するアスリートの三浦雄一郎からの応援@miyazaki_kimino
世界最高齢の80歳で世界最高峰のエベレスト(8848m)へ(自身3度目の)登頂を果たした先生は、今は90歳の目標に向けて(現在86歳)時間があればカラダを動かしていています。
先日、Twitterで先生の様子を呟いたところ反応がとてもありました。
夕食まで時間あるから1時間歩いて来よう。と20kgの荷物と5kgのシューズ履いて散歩しに出かけた三浦雄一郎を見て、座ってるだけの自分に反省した。。。
— キミノの大冒険 (@kiminos_com) 2019年12月4日
これは本当のことですし、もう何十年も前からこのトレーニングをしています。でも実際は、食べることも好きだし、飲むことも好きだし、お医者さんから寿命を言われたこともある。そんな先生はトレーニングが嫌いだと言いますが、日常の中にトレーニングを落とし込む、という方法をとる事で健康的に今も目標にチャレンジできるのです。
そして、アスリートは皆、生きて帰ってくるチャレンジをしている、ということも大事な点。どんなに過酷な山であっても、どんなに過酷なチャレンジであっても、死ぬチャレンジは誰も行っていません。
先日のTNFアスリートサミットでクライマーの中嶋徹くんが話していました。
『 Success or Die 』ではなく
『 Success or Lose my heart 』であると
この言葉には響きました。私も先日のオマーンの苦しい場面で進むか降りるか迷いました。マイナス思考になっているときは、徹くんのいう前者の考えが頭をよぎります。しかし実際は後者であることに気づきます。
私の場合は食べられなかった、という低エネルギー状態で進むことで脳の思考回路がうまく働いてなかった。スープというエネルギーと温かさにより正常な気持ちに戻れ、後者の選択ができました。
常に山ではココロをニュートラルにしなければならない。
これを実際の経験と共に学んだ瞬間でもありました。
過酷な領域に踏み込む理由、自分の限界を少し超えたいから。それは無謀ではなく、できる可能性が明らかに高いと決めている領域だからこそ、それに向かって努力する過程は、不健康でもなんでもない、健康的な身体と心が無ければ成し得ない挑戦であると思います。
今年は念願の日本代表として走ることもできました。@miyazaki_kimino
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