フランス語で『Après-Ski:アプレスキー』というスキーの楽しみ方があるらしい。
スキーしている、その時間だけでなく、滑り終わった後に食事やお酒を飲んだりして、スキーだけでなく、その余韻をも全て楽しむこと、これがこの言葉の意味である。Ski Clubに書いてて初めて知った言葉である。
毎年夏に行くフランスのシャモニーは、山の麓にたくさんのカフェやバーがたくさんあって、お店の中よりも外の席に座る人が多いのが印象的だった。自然の中の非日常と、現代人としての日常が限りなく近い、その隙間をも楽しむのが、アウトドアスポーツ大国だなと感じていた。いつか冬場の本場のアプレスキーを見てみたい。
今回のわたしのアプレスキーはランニングだった。
まだ私のスキーは、スキーが大好きな人たちのように気持ちよく滑り終わるという感覚はない。わたしの固まりきったカラダもココロも解き放つには、そのまま美味しいご飯を食べに行くよりも、仲間と飲み物片手に話をするよりも、いつもの自分に戻れるランニングの時間が心地よかった。何だか新しい感覚だった。
アスリートの肩書からか、なんでも器用にこなせるね、と言われてしまう。でも本当に器用なら、ランニングじゃないスポーツでアスリートになっているはず。まっすぐと淡々と走る、自分の身体のみが勝負のランナーあるあるだと思うんだよね。周りからの期待は、どんなスポーツでも(そこそこ)いけるよね?が最初のハードルだから、どんなスポーツでもプレッシャーを感じて、自分を追い込んじゃう癖がある。専門外のスポーツなのにね。
私は人より怖がりだ。子供の頃、川遊びでジャンプする兄妹たちを羨ましそうに見ながら絶対にチャレンジしない、臆病な性格だったことを母から聞いている。スキーの斜面は子供の頃の自分が全面に出てしまうほど、楽しさより怖さが勝ってしまう。
そんな怖がりでも、教えてもらって少しずーつ滑れるようになって、山に連れて行ってくれる時がきた。憧れていたバックカントリースキーだ。ザックを背負って、スコップにビーコンに、シールに、いつもと違う荷物に不安が募る。
憧れていた気持ちとは裏腹に、怖くて手の震えが止まらなかった。意識することはスキー場と同じ。頭で何度唱えても、震えている自分の手を見て涙が出てきた。でもゴーグルのおかげで泣き顔はバレていないぜ。臆病な性格は大人になっても変わらない。おかげさまで、負けず嫌いな性格は増してしまったけど。
そんな私がスキーをするのは、スキーが楽しくて堪らない、と言う人が身近にいるからだ。スキーは空を飛べるらしい。私はまだ地上から翔けない雛鳥のようだ。親鳥の背中を追いかけるように、いつか、アプレスキーだけじゃなく、スキー自体も、同じくらいの雄大に飛べる楽しさを感じられたらいいんだけど。
まぁ焦らずじっくりと。
ウルトラディスタンスと同じだね。
薄皮を一枚ずつ、一枚ずつ。
ミルフィーユのように積み重ねて。
小さな成長を、ちゃんと自分で自分を褒めてあげる。
どんなスポーツもおんなじ。
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そして寒さやブーツの悩みをずっと抱えてましたが、親身に相談乗ってくださった@fullmarks_hakuba のおかげで、またスキーが行きたくなりました⛷️!
環境、道具ありきのアウトドアスポーツは本当に奥が深い。