キミノの大冒険

12月はコツコツと。

危険率5%の壁を超えた実践研究の世界

先日、日本スポーツパフォーマンス学会に参加していました。今年はコロナの関係で12月開催となったのですが、オンラインでの参加が可能ということで、会社に居ながら参加させていただきました。

http://sports-performance.jp/symposium/2020/JSSP6_poster.pdf

 

やはりオンラインでの壁(学会参加でないと聞きにくい話や、空気感)がありましたが、こういった学会が増えるとたくさんの知識が得られ、研究が多くの人に伝わると思うので、今後も続けて欲しいなぁと、余韻に浸っておりました。

 

私が学生の時に学んだ先生、先輩方をはじめ同級生に後輩たちが発表する姿、そして独特の緊張感と、長い時間かけて取り組んだ研究データを短い時間で伝えなければならない資料作りのセンスや発表の仕方など、懐かしい気持ちを思い出させてもらえます。

 

私は研究者になりたかったのですが、センスがなく諦めました。同級生や先輩方が優秀すぎて大学院の時に打ちのめされましたのです笑

 

この学会は他の学会と比べて学会費も安く、誰でも投稿できその投稿を読めるので、多くの人の手に届いて欲しいなと、学会会員の一人として思うところがあります。

 

ちなみに私が関わった研究でここの学会に載せてもらっている論文はこちら👇

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https://ci.nii.ac.jp/nrid/9000019247254

 

2015年STYで優勝した時のデータや、三浦雄一郎のバランス能力といった対象者が1名の事例研究であっても、そこから得られる普遍性のある仮説を提案することで、価値ある研究だと認めてくれるのです。

 

例えば私のSTY時のトレーニングとレース戦略、この内容はトレーニングの量よりも、メリハリと特別な練習よりもトレーニングの方法、そして長い距離を走るためのコツが多くの人にも当てはまると思います。

 

お気づきの通り、自分が筆頭著者の論文が無い。笑

 

他の学会ではありますが、筆頭著者でいうと10本くらい出してるんですけどね、それって今どのくらいの人に見てもらえてるのかなぁー。

 

 

 

研究って、言い方に誤解が生まれるかもしれないけど、ちょっと自己満になっちゃう部分があると思っているのです。もちろんただ知りたいことを実証するだけでは研究を続けることができないのはあるのですが、論文として出せたとしても、本当にそれが世の中のためになっているのか、どれくらい伝えたい人に伝わっているのか、そこまでちゃんとしないとこの世にはたくさんの論文が溢れているのに。。。

 

って思って今の会社に来て伝えたい人に伝えようと、登山者と関わる仕事に就いたのですが、今やコロナで会えなくなってくると、どう広めていったらいいかなって思った結果、このブログに戻ってきたわけです。

 

スポーツの領域で研究を目指している方に読んでもらいたい本がこちら

 

 

科学研究では厳密さや普遍性を追求します。一方、実践現場では、厳密さよりも現実的・即時的な解決を求められ、普遍性よりも個別性の方が重要となります。そしてその答えは従来型の科学研究だけでは導くことは出来ません。-まえがきより引用-

 

わたしが一番大切にしている”個別性” 。同じ言い方でも、同じトレーニングでも、同じ年齢でも人にはそれぞれ反応は変わってきます。有名なあいだみつおさんの詩”みんな違ってみんな良い”がスポーツにも当てはまるのです。

 

科学論文には、95%以上の可能性を示すものしか採用しない、という”危険率5%”という言葉がよく出てきます。一方で現場では1%の可能性を示すものであっても試す価値がある、と認識されることが多々あります。

 

そういった現場を大切にしたトレーニング研究の成果をここの学会では大切に取り扱ってくれます。そしてその概念をまとめたものがこの本になります。

 

この本には、私の師匠である山本教授から学生だった当時に教わったことがまとめられています。その中には強いメッセージが書かれています。

実践研究を行う人は、実践研究者という共同体にとって独自の評価尺度を構築し、それに基づいて評価していかないと、いつまでたっても実践研究の市民権は得られないし、地位の向上もないでしょう。言い換えると「従来型の科学研究とは別の作法(パラダイム)を構築しなければならない」ということです。

 

この考えを強い気持ちにさせてくれたのが、為末大選手の言葉だった当時も語られていましたが、その言葉もここに綴られています。

 

科学的な確証が出るまで待っているうちに、世界のレベルは先に進んでします。私が科学に対して望むこととは、ヒントでよいから役に立つ知見を提供してくれることです。ー為末選手が以前学会で話されていたという話ー

上を目指す人なら分かると思います。特にトレイルランニングの場合、多くの”試し”を通して自分に合っているものを探していきます。それは研究で言うと「外れ値」として削除されるものでも希少価値としてブログやSNSを通して意見がぶつかります。

 

 

そのような価値を評価してもらえるようにするには、それをこの本に、そしてそれを集めたものがこの学会になります。ぜひ興味ある方は覗いてみてください。 

sports-performance.jp

 

 

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学会参加後は気合いが高まる瞬間

私の研究も、そしてこの論文から私はこの結果を出せた、というのを今後紹介していこうと思います。ちょっとマニアックですが、興味がある方はチェックしてみてください。

 

 

女性アスリートとして、大学院で学んだ山の運動生理学について、環境問題についても、トレイルランニングを通して得た情報を発信していますので、よかったら下の画像をクリックして応援してください♩

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