キミノの大冒険

12月はコツコツと。

トレイルとロードを走る違い

 

先週の日曜日、12月10日に広島県呉市のとびしまで行われた「とびしまウルトラマラニック」に参加してきました。私にとって初めてのマラニックです。参加者の方から、マラニックだから!とめちゃくちゃ言われたので笑、エイドで出していただける食事を全て食べながら楽しませてもらいました。

 

tobishima-ultramaranic.com

 

4つの島をめぐりながら走るウルトラマラニックは、当日の天気もとても良く最高の気分で走れました。トレランザックを背負いエイドに立ち寄りながら特徴のある自然と歴史的建造物を見ながら走るウルトラマラニックは、ロードランナーはもちろんのこと、トレイルランナーにもさらに人気がでるだろうな、なんで今まで出たことなかったのだろうかと思うレースでした。

 

ちなみに初めてのウルトラマラニックの記録は100kmを9時間37分でした。これは累積標高でいうと、とびしまよりも3倍近く上り下りする阿蘇カルデラスーパーマラソン(100km)のタイムが9時間27分なので、登りが少ないはずなのにタイムが遅いという、トレイルランナーである私の特徴を表した結果となりました。

 

そんな今日のお題は

 

ロードとトレイルは何が違うのか。

 

そんな話を書きたいと思います。

 

 

今やGPSウォッチが手軽に手に入り、正確に速度を教えてくれるのでスピードコントロールもしやすくなりました。ロードレースに出る場合は、目標タイムに対してペースが落ちてないか、早すぎないか、とペースを基準に速度を一定にしようと意識するのではないでしょうか。

 

一方でトレランの場合はどうでしょうか?不整地を上り下りしながら走る上でペースを一定にするのは至難の業です。ロードはペースを一定に、トレイルは変化することを前提に、なぜこのような差が生まれるのでしょうか?

 

 

山を走る際にペースを一定に保つことを意識したとしても、トレイルによって『路面』が違い、『傾斜』も一秒単位で変わります。さらにロードと違い『荷物』を背負っているため、ロードと同じようなペースで走っていても、身体にかかる負担が変わります。そのため山では街中を走るよりもエネルギーを必要とし、食べ物や飲み物を携行する必要があります。

 

ロードと違い、トレイルではペースを変化させることで長い時間走れるようになるのです。しかしペース変化が大きいと疲れてしまうので、ペース以外のものを一定にさせることがキーポイントになると私は思っています。

 

ペース以外に何を一定にするのか、それは「いかに身体への負担を減らすか」だと私は考えています。


では、どうやったら負担を減らせるのか、下の画像をご覧ください。

 

 

上のグラフは、同じ山を登った時の心拍数の違いです。左は熟練者、右は初心者の結果です。一目瞭然ですね。熟練者は、心拍を一定にし、初心者は上げたり下げたり変化が大きい。初心者は前半キツイペースで歩いているにもかかわらず、山頂への到着時刻は2時間45分。一方熟練者は、楽からややキツイと感じるペースで登り続け、2時間30分で山頂に到着しています。

 

楽した方が早く登れるのです。なんであんなに頑張ったのに結果が出ないんだ、ゴール出来ないんだ、と思っている人はいませんか?もしかしたら、頑張りすぎているのかもしれません。

 



 

身体の負荷を主観ではなく客観的に示す指標である心拍計は今や誰でも買いやすい値段になりました。これを使わない手はありません。私は大学院の時にこれを学んだので、トレランを始めた際に試すことにしました。

 

2014年の10月にトレランを知り、2015年の9月に今はもう無くなりましたが、UTMF(現Mt.FUJI100)のハーフコースSTY(Shizuoka to Yamanashi)で優勝することができました。なぜ山を走り始めてすぐに優勝できたのか、それは経験を知識で補うことができたからです。その時の心拍数の変化がこちらです。

 

 

横軸は「1秒間で何メートル上昇したか」つまり「傾斜」を基準に示しています。右に行けば行くほど傾斜がキツくなります(登りだけを抽出し分析しています。)縦軸は心拍数、上に行けば行くほど心拍が高いことを示します。

 

見てわかるように、傾斜の強弱に影響されず、回帰直線を示す点線も横一直線です。長い距離を走るのもまだまだ初心者でしたが、心拍管理によって約80kmの山を女子トップでゴールできました。

 

 

こう説明すると自慢にしか聞こえないのですが、実はトレイルレース初戦は惨敗しています。負けたことによって勝つにはどうしたらいいのか、と悩んだわけです。そう、負けて気付けたわけです。

 

STYで優勝する8ヶ月前、1月に開催されたレースでは心拍管理をせずに自由気ままに走りました。60km地点までトップを走っていたものの、見事に足が動かなくなり最後はほぼ歩きのようなジョギングでなんとか2番を死守してゴールしました。当時はデビュー戦で2位は十分だな、と満足していましたが、時間が経つにつれ優勝できなかったことが悔しくなり、自分のデータを振り返りました。

 

 

上のグラフは先ほどのSTYのデータと見方は同じです。見てわかるように、点線が右肩上がりの結果となりました。つまり、上りでガンガン心拍を上げた走りをした結果、最後まで走りきるパワーがなくなってしまい、ほぼ傾斜のないトレイル上でも心拍を上げることができなくなっています(左下のことを示しています)。

 

 

二つのレースを比べると一目瞭然です。これが私がトレイル歴が無くとも優勝できた理由です。そして面白いことに、両者ともに心拍の平均値はほぼ同じなのがわかると思います。これは登山の研究でも同じことが言われています。

 

 

平均値で見るのではなく、その中身をしっかり把握する必要があるのが分かりますね。多くのランナーがレースを振り返る時に見る数値は、全体の平均値です。全体を俯瞰して見ることの大事さが伝わったかと思います。

 

わたしは、この法則を兎と亀の法則と名付けています。御伽話で誰もが聞いたことのあるあのお話ですね。序盤に上位を走っていて、後半失速するランナーが多くいます。ウサギさんではなく、亀さんランナーを目指しましょう。賢く走れば、今もっている走力で最後まで走り切れるようになれます。

 

まずは自分のレースを分析し、どのように走っているのかを理解する。その結果がウサギさんのような走りであれば、賢くトレーニングするだけで、目標に近づくかも知れません😁

 

 

 

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