キミノの大冒険

12月はコツコツと。

リベンジシャモニー!

一昨日までの寒空とは一変、急な冷え込みにダウンをまとう人たちで溢れかえっていたシャモニーの街も、また半袖短パンの人たちが増えてきました。冬景色のモンブランはとても綺麗で、青空バックに偉大さが際立っています。一気に冷えたり、暖かくなったりと、これも異常気象の一つだと思います。今年は世界のレースを回っていますが、どこの国に行っても、こんなことはこれまで体験したことが無い、という気象に毎度あっています。一人一人の意識改革が絶対的に必要だと感じます。

HOKAが用意してくれたホテルの窓からモンブランが覗けます

 

レースまでは体調管理を優先し、試走は早々に終了としました。今回はそういう時期なのだと割り切って準備しました。いつもであれば出発直前までバタバタしていますが、今回は前夜には準備が終わりました。ビブも受け取り、あとはスタートまでゆっくり仮眠をとるだけです。

f:id:k1m1n0:20230901200851j:image

 

ビブナンバーは156です。

下のリンクから速報が見れるので、応援してもらえると嬉しいです😊👇

live.utmb.world

f:id:k1m1n0:20230901200819j:image

今回は走る時間が少なかったですが、それはそれで忙しく、いつも簡易的な食事を作っていましたが、今回はしっかり料理して日本にいる時と同じようにしっかり栄養が取れています。また過去のレースのリザルトを再度チェックして、当日の戦略を考えています。

 

昨年のUTMBに参加し、この1年間数多くの世界レースに出てきて感じたことがありました。

 

これまで王道であった前半に抑えて後半上げていくスタイル(正確には、後半上げていくように見えて、周りが落ちているだけなので自分のペースが落ちていない状態)では、世界では通用しないのが重々わかりました。私にトップレベルのパフォーマンスがあれば別ですが、世界レベルが数年前より一気に上がった今の時代は、前半ハイペースで走ったランナーが落ちてくることはなく、トップ10のメンバーはほぼ前半で順位が決まります。

 

ちょっとダラダラとこの一年間について振り返りますが、もしご興味あれば先を進めてみてください。

 

過去のデータから振り返り

 

昨年の女子のデータと2022年に最速タイムを出したコートニーのタイムを比べてみました。昨年のトップ5に入った選手たちの多くが半分の距離に当たるクールマイユール(89.9km地点)でゴールタイムの40〜42%で通過していました。

ゴールタイムに対する各区間の時間配分

私はどうだったかというと、前半は28時間ペースで走っていたのですが、後半大失速をしたので前半の割合が少なく38%となりました。当初予想していたタイムスケジュールで言うと、28時間ゴールのペースで走るための想定タイムと、ほぼ同じくらいのタイムスケジュールで進んでいました。しかしながら、レース前から続く体調不良により大ブレーキ、前半もなんとかペース通りに走ろうと必死だった私は、クールマイユールの地点でかなり体力を消耗していたことを後で気づきました。

 

この時に適切な判断ができていれば、もう少しタイムも順位も違ったかもしれませんが、どちらにしてもトップ10に入るほどのパフォーマンスは持っていないのは決定付けられました。

 

昨年の反省から、これまで積み上げた「自分のパフォーマンスをどのようにして発揮するか」、ではなく「世界と戦うためにはどのようなペースで走ればいいのか」これを意識してレースに挑むようになりました。

 

 

2023年の世界レースの振り返り

 

幸先よく、2月のニュージーランドのレースでは162kmを18時間切るタイムでゴールができました。累積標高は4000mも満たない走りやすいトレイルではあったものの、最初からある程度スピードを出し、最後までトラブルは最小限で走ることができました。しかし、この時も優勝したルーシー(今回のUTMBに出場します)には程遠く、スタート直後から姿を見ずに2番でゴールしました。

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

宮﨑 喜美乃 / Kimino Miyazaki(@miyazaki_kimino)がシェアした投稿

 

かくして、そのスピードに着いて行ってみよう!と挑戦した4月のクロアチアのレースですが、スタート直後に石ころが続くテクニカルな下り坂をキロ4分30分ペースで進み、その後の登りでペースは落ちることなく登る展開に、スタートから5kmほどで早々に退散し、自分のペースでいくしかありませんでした。

 

世界のスピードとの差を体感した瞬間でした。この大会は結果的に優勝したのですが、先頭を走っていたイーサー(今回はTDSに出場)が、レース中に生理痛で悩み棄権したことによるラッキー優勝だったため、本来なら彼女のリザルトからしても大差で、またも2位の座であったと容易に予想できます。

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

宮﨑 喜美乃 / Kimino Miyazaki(@miyazaki_kimino)がシェアした投稿

 

 

5月6月とスピード練習、そして次のレースが高所レースだったため低酸素トレーニングを増やしました。そうして迎えたのが7月のハードロック100。結果がどうだったかというと、高所は全く問題なかったものの、予想以上の乾燥と熱波によって標高の低い場所で嘔吐を繰り返してしまいました。

 

なにより圧倒的な強さを魅せる世界No.1のコートニー(今回UTMBに出場)とは7時間差、世界との差に愕然とした瞬間でした。

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

宮﨑 喜美乃 / Kimino Miyazaki(@miyazaki_kimino)がシェアした投稿

 

大きな壁となっている嘔吐症状への対策

 

100マイルをうまく走れたな、と思えた2021年の10月Lake Biwaや12月Thailand by UTMBから一転、2022年の4月UTMFと8月UTMBは後半バテてしまい大ブレーキ、9月Pirin、4月のIstria100、7月のHardrock100はレース中に、2月のTaraweraはレース後に嘔吐してしまい、これは身体によくないと。どうにか対策を練らなければ、と何が原因かを再度考え直しました。

 

いつもサポートしてくれているメンバーに聞くと、私は周りのランナーよりも前半から汗をかく量が多い、というのが一つの解決策になると考えました。

 

7月に行ったアメリカで出会ったSkratchのピーターにアドバイスを求めました。Skratchは自転車選手をメインに指示されている栄養補給食を展開しています。また自転車選手だけでなく、トレイルランナーをはじめとしたアウトドアスポーツにも展開が広がっています。

 

コロラド州にあるスクラッチラボにて

www.skratchlabs.com

 

彼曰く、私の場合はナトリウムの摂取量をもっと増やした方がいい、というアドバイスをもらいました。

 

そこで100マイルレース中のナトリウム摂取量について論文を調べてみました。残念ながらナトリウム摂取量と嘔吐の関係性はみられなかったものの、ナトリウム摂取量と脱水量との関係には優位な相関関係が見られ、またその論文の被験者であるランナーたちのナトリウムの摂取量をよくよく見ると、私が普段のレースで摂取している量よりはるかに多い量を摂取していることがわかりました。

 

エネルギー補給を決める時間はいつも時間がかかります

 

どのタイミングで私は不調を感じているのか

アメリカから帰国しスポーツドクターに診てもらうと、一度深部体温を測ってみるといいとアドバイスをもらいました。正確に測定するには直腸温を測る必要がありますが、山の中で測定するのは難しいため悩んでいたところ、Coreというブランドのモニタリングができるデバイスを試させてもらえることになりました。

新たな測定機器にウキウキ

レースまで測定する時間があまりなかったので、今回は測定してみるだけになりますが、カロスの画面にリアルタイムで体温が表示されるので、様子を見ながら水分摂取量やナトリウムの摂取量を変えていきたいと思います。

 

さてさて、今回のレースはどうなるのか、私も楽しみです。

応援よろしくお願いします!