キミノの大冒険

Give Shape to the Thought

第六章:マイナス思考との葛藤が続く2日目の夜へ

ハッと目が覚めた。横になった瞬間に寝てたみたいだ。岩の上で直射日光を浴びたのに体が冷えている。

 

そろそろ行かないと、と思い立ち上がった。完全に頭がボーとしている。エネルギーが無いのが分かるが、食べれない。胃の回復を促すために、生姜タブレットをひたすら噛んで食べた。

 

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正直この区間でサポーターと会話をしたがあまり覚えてない。とにかく皆んなの元に着いたら安心して、とにかく横になって回復したかった。そのあと多分声かけてもらって起きたと思うけど、あまり覚えてない。

 

奥にスチールのマサさんが撮影してくれてる。カメラマンの翔さんも撮ってくれてる。スチールの加藤さんが私を追う。嵐洋さんが無言で前のほうにいた。

 

 

ここの区間はそれだけの記憶だった。

 

そこへ行こうと。そう思うと身体を動かせた。

 

 

 

炎天下なのに動かないと冷える。一山超えたら次のチェックポイントだと、教わって向かったが、一山どころじゃない、5つくらい越えてやっとボス山がいた。

 

疲れてるからなのか、エネルギーがないからなのか、このコースがタフ過ぎるのか、分からない。

 

でもおかげで身体は温まってきた。

 

 

 

とにかく前に進もう。

 

一歩が次に繋がる。

 

色々考えるのは、次のチェックポイントにしよう。

 

 

そう何度も唱え続けたが、この区間が一番参ってしまった。

 

どうしてこんなことになったのか。

やっぱりマイルは私には向いてないのじゃないか。

そもそもヤマ自体向いてないてないのか。

アスリート自体もうダメか。

辞めたら山業界にも入れないな。

 

ひたすらマイナスワードが出てくる。

 

 

でも対照的に

 

『今』を動かすしかないだろ。

キミノならできるさ。

この苦しいの初めてじゃないだろ。

前進める人が強い人だ。

 

 

三つのマイナスワードに対して、一つのプラスワードを言い聞かし続けた。

 

人は、三人称で応援すると力が出るらしい。

 

私ならできる。よりも

キミならできる。の方が暗示されやすいと。

 

 

ひたすらもう一人の自分を作り出し、弱い自分に声をかけ続けた。

 

 

 

この区間は葛藤が長く続いたが、やっとのことチェックポイント14に着き、必携品チェックとメディカルチェックを受けた。

 

116.7km/7399m+地点、15:56通過。この時点ですでに26:55:46時間経過している。

 

 

 

SpO2を測ると86%

 

 

(°_°)

 

 

 

あれ?標高そんな高くないよね。汗

あわてて冷たくなっていた手を温めて測り直した。こっそり呼吸法しながら、バレないように。

 

 

SpO2は93%

 

 

『good』

 

問診で体調と尿の色の確認、心臓音や、目線の動きなども調べられて、許可が出た。

 

 

ふー。。。。。

 

 

複雑な想いを抱えながら、後ろの人はメディカルチェックに引っかかって130kmのゴールへと向かわされていた。

 

 

どうにかチェックはクリアしたけど、身体も心も追いついてない。スープを3杯もらった。今回のエイドで私が食べれるものが少ない。水だけ準備していると、恐らくスタッフ用のスープを選手にも振る舞ってくれた。

 

食べれなかった胃に染み込むように入っていき、身体が温まった。

 

焚き火に身体をあてながら、ワンモアプリーズ、オーケー?とお願いして飲ませてもらった。

 

 

まだ身体は冷えていたので、ウェアを全て着て携帯を見た。これから夜へと向かう状況で、この身体の状態は不安だ。

 

 

電波無し。

 

 

 

さすがに電波なく連絡が取れなかった。大会スタッフに電波がある場所を教えてくれ、と泣きなしの英語で尋ねた。

 

あの岩を登ればあると。、多分そう言っていたはずなんだけど。

 

 

 

電波が無い。

 

 

 

さっきのポイントまで戻るのも億劫だ。先に進むしか無い。

 

 

だいぶ下った先で電波が入ったのを確認した。すぐにサポートのユミさんに電話をした。

 

 

寒いです。これから夜に入るのに心配です。

 

 

素直に伝えた。

 

 

ユミさんは『大丈夫?』と聞いてくれた。

 

 

咄嗟に『大丈夫です。』と反射的に答えた。

 

 

日本人は大丈夫?時聞かれると、大丈夫と答えるから、高山病の心配がある人への声かけはそう言っちゃいけないよ、と指導しているが。

 

 

案の定、大丈夫、と答えた。

 

 

でも反対に、大丈夫、と答えると、何故か行ける気がしてきた。

 

 

サポーターから改めて連絡が来た。

 

嵐洋さんだった『どうだ?』

 

スープ食べて温まったんで、大丈夫だと思います。

 

 

なぜかマイナス思考が少しずつ消えてきた。

 

 

『今から夜が来るからな。エイドはウォーターステーションも無い。そのこと考えて進めよ。』

 

 

分かりました。

 

 

『待ってるからな』

 

はい。随時連絡します。

 

 

長い長い戦いとなるシャムス山への道が開かれた。

 

 

つづく。

 

 

第一章:スタート前の興奮・緊張・歓喜、こうして始まったOman by UTMB

第二章:走り出しは1位。自分のペース、に葛藤する序盤

第三章:いちばんの楽しみクライミングゾーンはハイテンション

第四章:首位争奪戦、翻弄される1日目の夜明け

第五章:3㎞で1,000mアップのW8で満身創痍  

第七章:あれは幻なのか、究極な状況で受けた衝撃の4時間。

第八章:焚火とオマニコーヒーとTODAYフレンド

最終章:この瞬間はこの時しかなかった

 

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